ヨセミテ クライミング その②

ヨセミテ クライミング その②

今回と次回は、前の記事「ヨセミテでのクライミング」の詳細を紹介する。

10月8日(7日にキャンプ場に各自集合)

ICMが始まると早速英語での自己紹介が行われた。名前以外にAACが指定した何かを話すのだが、それすら分からず、日本で作った英語のメモをそのまましゃべるしかなかった。自己紹介が終わるとすぐに次の関門が訪れた。スケジュールの説明が聞き取れないのである。しかも、全員で一緒に行動するわけではなく、それぞれに予定を調整して教育プログラムにでたり、クライミングに行ったり、ハイキングに行ったりとバラバラなのである。自分から参加する意思を示さないと、どこにも行けずに取り残されるという危機的状況になってしまった。詳細を聞いて決めたかったが聞き方も分からない為、とりあえずクライミングの格好をしている人に一緒に連れて行ってくれとお願いをした。話しかけたその人はクライミングに行くグループだった。こうしてどこに行くのかも分からないまま車に乗せてもらいクライミングへ行くことになった。

 

みんな英語圏というアウェイ感

到着した場所はPat and Jackというエリアだった。岩場に着くとあっという間に他の人たちはパートナーを見つけて登り始めてしまい、早速取り残されてしまった。内心焦りつつもトポを見ながら平静を装っていたが、困っているのが伝わったようで1本目を登り終えたメンバーが同じルートを登るかと聞いてくれた。5.10bのスラブでグレード感もよく分からなかったが、もうここは「YES」しかなかった。そして、その1本をOSすると、もっと上のグレードを登りなよと5.10dを勧められる。私は日本では5.10bか5.10cくらいのレベルである。でもここで断ったら、トポを眺めて1日が終わってしまうと思い、ここでも答えは「YES」である。何とかこれも登りきることが出来たが、2本目にして本気トライになってしまった。勧めた人は落ちると思っていたようで、とても褒めてくれた。私も少々興奮気味に、ここが悪かったとか、ここが楽しかったとか、身振り手振りで伝えた。この1本で少し打ち解けることが出来たように感じた。そのあとは、ハンドクラックやチムニーなどいろいろなおすすめルートを登らせてもらった。何もかもが新鮮で楽しかった。いつの間にか言葉の心配を忘れてクライミングを楽しんでいた。

Pat and Jackでのクライミング

10月9日

2日目は、教育プログラムに参加した。この日は、クライミングの基礎ということで落下練習からスタートした。普段落ちる練習はしたことが無いので、落ちると分かっていても意外と難しい。トップロープの落下、リードでの落下を体験した。その後は、ナチュラルプロテクションの取り方や、支点の構築、ATCの様々な使用方法の解説などが行われた。ヨセミテでは、終了点は基本的に固定分散、懸垂は必ずバックアップが基本となっていた。日本のゲレンデでは、流動分散が多く、懸垂もバックアップを取らない人が多いと思う。日本のように短いルートの懸垂では省略してしまいがちだが、懸垂のバックアップは日本でも必須ではないかと感じた。この日は、教育終了後にSwan Slabのショートルートをいくつか登って終了となった。夜は、毎晩食事がバイキング方式で届けられる。その夕食の中でカラビナアワードが開催される。これは、AACがその日に目立っていた人や、良いクライミングをした人に賞としてカラビナを贈るというものだ。この日は2日目のカラビナアワードである。話を聞いていると、「メールでヨセミテへのバスの行き方を聞きまくったのに次のメールではCamp4に車で来たというよく分からない人がいる。そして、英語が苦手なのに臆せず乗り込んできた勇気のある若者がいる」という内容だった。それは、私のことだった。英語で苦労していただけにカラビナアワードで名前が挙がってとても嬉しく感じた。

国際的な基準の講習が開かれる

10月10日

3日目も教育プログラムに参加した。3日目はセルフレスキューに関する内容である。ATCを落としてしまった時のカラビナでの下降方法や、ガーダヒッチやATCを使用したアセンディングを学んだ。また、それらの技術を利用してロープの末端ほどき忘れ等によるスタック時のアセンディング方法も体験した。クライミングをしていけば、いつかロープスタック等を経験する可能性があるので、今後の為にも非常に良い技術勉強となった。この日も会場はSwan Slabだった為、終了後は昨日やらなかった手ごろな2Pのマルチピッチを登った。ICMに参加して3日目となり、そろそろシャワーを浴びたいところであったが、イエローキャンプには水場は無く、飲み水用のタンクがあるだけだった。車のある参加者は帰り際にそのままシャワーのある別のキャンプに寄っている様だったが、なかなかシャワーのタイミングがつかめずにいた。結局のところICMの1週間1度もシャワーを浴びることは無かった。もっと英語が出来れば行けたのかもしれないが、1週間シャワーを浴びなくても何とかなることが分かった。ただ、さすがに靴下は臭かった。後日談だが、ICMが終わった後のシャワーは最高に気持ちよかった。そして、1週間着た洗濯物を洗うとすごい色の水に変わった。これを着ていたと思うとゾッとする。

世界各国のクライマーと一緒に自分がいるという不思議

続く・・・

 

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