エルブルース登山 その②

エルブルース登山 その②

8月15日

アタック準備

いよいよアタックに向けて、準備を開始する。14時リフトでバレルス小屋を目指す。この日は、バレルス小屋で1泊する予定だったが、バレルス小屋が停電してしまった為、急遽ガラパシ小屋での宿泊に変わった。3900m地点の宿泊になってしまったが、小屋の設備はこちらの方が良かったので結果オーライだった。翌日の雪上車の時間も短縮することができる。宿泊料金は変わらないとのことだったので安心した。小屋に到着すると最終アタックに向けてミーティングを行った。体調は特に問題ないが、徐々に緊張してきている感じがした。小屋でくつろいでいると、ディミトリーとガリーナがカシューナッツをくれた。これにはちみつをかけてくれたのだが、これがとてもおいしかった。しょっぱさと甘さが絶妙だった。この日は19時に就寝した。翌1時がスノーキャットの待ち合わせ時間である。起床予定は、0時ちょうど。

 

8月16日

最終アタック

いよいよ最終アタックが始まる。空は満点の星空が広がっている。0時に起床してウイダーインゼリーと少量の菓子を朝食とする。緊張からか前日から便意が無く、お腹が若干重い。1時、アイゼンを装着した状態で、スノーキャットに乗り込む。3900mから一気に5000mに標高をあげる。スノーキャットは壁が無いので防寒はフル装備である。登りは傾斜が強いため踏ん張っている必要がある。高所で力を使うため、消耗していく感じがした。5000m地点に着きピッケルを装着し登山を開始する。

 

まずは、サドルへ向けての大トラバースである。トレースははっきりしていたが、下を見ると深い闇が広がっていて少し恐怖感を覚えた。しばらく歩くと休憩を入れた。その後歩いていると、ふと指が気になった。小指の感覚が無い。気温は-20℃近くまで下がっていた。小指を温めるが、なかなか感覚が戻らない。普段は意識している指を気にせず歩いていたようだ。隊長に指の不調を訴え、隊列からはずれ指を温める。その時は、操作性のよい薄手の3レイヤーの手袋をしていた為、予備のウールの厚手のものに交換した。しばらくすると感覚が戻ってきた。ただ、5000mを越えた場所では、手をこするだけでも息が上がる。この後、隊列に追いつく為にペースを上げた。

暗闇なので写真はあまりない
もうすぐ夜が明ける

東峰と西峰の間のサドル5400m地点に到着する頃、ようやくあたりが明るくなってきていた。ここで大休止をとったのだが、寒さで体が震える。防寒着は、ダウンまで着込んでいる。八ヶ岳の厳冬期よりよっぽどしっかりしている。気温は大差無いはずだが夜明け前はやはり寒いのだ。高所登山は歩くスピードが極端に遅い。だから、体が温まらない。でもスピードを上げて走り回ることもできない。その為、持ってきたチョコ類を食欲は無かったが無理やり食べた。しばらくすると震えも収まり落ち着いてきた。普段の山行では食べないことが多いのだが、積極的にカロリーを取ることも必要と感じた。サドルを出発すると傾斜が強くなりフィックスロープ帯に入る。アッセンダーを使用するレベルではないが、スリングとカラビナでセルフを取りながら登ることになる。途中の支点ではカラビナを架け替えて進んでいく。フィックスの終了点に着くころには、日が昇り始めて気温も上がってきていた。このあたりに来ると体が重くなりペースダウンした。1歩が重く感じる。大きく息をしながら呼吸を整える。これ以上ペースが落ちないように一定のリズムで呼吸を続け、1歩ずつ進んでいった。

山頂までは緩やかな登りだ

山頂が目前に迫るころには、雲一つない青空が広がっていた。あと少し、あと少し、と歩みを進める。

そして、ついに5642mの頂を踏んだ。今年は、仕事を辞めいろいろとあったが、ここに来る選択をして本当に良かったと思えた。ヨーロッパ大陸最高峰から見る景色は格別だった。

初の海外の頂へ
山っていいなあ 横の人裸…

もっともっといろんな山に登りたいと思った。

 

次は、ヒマラヤに行ってみたい。もっと高く、もっと難しい山がごろごろしているんだろうな。

自分がやったことのないことにチャレンジする。それは大事なことだと思う。

いつかは、だれもやったことないことのチャレンジできたらいいなあなんて思う。

 

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