ラクダとワニと脳ミソのシーソーについて

ラクダとワニと脳ミソのシーソーについて

今週は旅の週でした。
長野に2日、大阪1日、京都1日。
ようやく昨日の深夜に家に帰ってきました。

カイコたちはまだ3頭、幼虫なので車に乗せて一緒に連れて行きました。
(泊めていただいたお家では、ものすごく可愛がっていただいておりました。なんなら私が朝起きたらえさやりをすでにしてくださっていた。)

長野では、知人のお知り会いの藻谷さんという方のお話を聞きました。
色々なお話を伺った中で、私の中で一番「ほぉ〜〜〜」と思ったのは、
「アートとは人の手が作るもので、サイエンスとはすなわち自然のもの」という藻谷さんの持論でした。

その次の日には東御市で行われた「天空の芸術祭2019」に行ってきました。
こちらは東京藝術大学の学生さんが展示をしているそうです。

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動画は、知人とアートなシーソーに乗る私。
シーソーは座るところにフタコブラクダとワニのオブジェがついており、
下の板が当たる部分は、脳ミソのオブジェになっていた。脳ミソにシーソーの板が当たると後方で煙が出る仕掛けで、
板がより強く当たると、よりたくさん煙が出るようになっていた。

ラクダ側に乗ったら、おそらく外国人のシーソーの作者さんに、
「コブのとこ、しっかり持って下さいねえ」と注意される。

知人とシーソーを始めると、思いのほかの体重差で
私の身体は空へ飛び上がった。体感的には尻が板から10センチくらい浮いてるような気がした。
大げさだと思われるかもしれないが、ディズニーランドの、ホーンテッドマンションで上にあげられて下に落ちようとするときのような感覚を感じた。
こんなもんはシーソーではない、ホーンテッドマンションだ。
しかも私を支えてくれるのは、ベルトではなく、ラクダのコブしかない。

このままだと天空の芸術祭だけに本当に空を飛んでしまうかもしれない。

慌ててラクダのコブを必死に掴み安定感を得ようとするが、
ラクダのコブの構造上、上に行くほどすぼんでおり、掴んでも掴んでも上に上げられる衝撃で手からコブが抜けそうになる。

「まじ怖いまじ怖い」と周りに助けを求めてみるが、
大げさなこと言って〜、といった空気でみんなニヤニヤ笑い傍観していた。
人間とは自身で経験したことのないことは、理解できない動物なのだ。

ああ、きっと最初のお姉さんの「コブのとこ、しっかり持って下さいねえ」は、
私の安全を危惧して言ってくれた言葉なのかもしれない。
でももしかすると「しっかり持ったとしても、持てないけどね」というパラドックス的なものを感じるアートの伏線だったのかもしれない。
シーソーに乗りながら、ふとそんなことを考えた。

そんな中、年齢的に私のお父さんだと勘違いされた知人は作者の方に
「お父さんの方、いっぱい煙でてるねえ。」と言われていた。

おそらく2〜3分ほどだったと思うが、恐怖で10分ほどに感じたシーソーがようやく終わった。
もしかすると、このシーソーは、恐怖で時間がゆっくり感じる走馬灯的な現象を感じることもアートとして意図して作られたものなのかもしれない。
そのためにラクダのコブはわざと掴みにくくなってて、わざとあんなに飛び跳ね恐怖を感じる仕掛けになっているのかもしれない。
よくわかんないけどきっとそんな感じで奥が深いに違いないに違いない。

帰りがけに「ありがとうございましたぁ」と言ってくださった作者の方に、
母が「このシーソーは、どんなコンセプトで作ったんですか?」と聞いていた。
(母は、アートについて作者にコンセプトを聞くなど愚問だったと、この行為に関して後ほど激しく後悔していた。)

作者の方は、
「あぁ、これは、この空間でシーソーに乗ってもらって、みんなが楽しんでくれるのがアートだと思って。」と言い残して
きっとお昼ご飯かなんかの時間だったのだろう、どこかへ立ち去っていった。

アートとは、作者本人が意図しない部分で作品に触れた人が勝手に意味を見出してしまうものなのかもしれない。

駐車場に戻り、さあ車に乗って次の展示を観に行こう。
車に乗り込みながら私と母と知人の三人はきっと同じことを思っていた。

そのとき、隣の車が動き出した。ふとみるとそのシルバーの軽自動車の上にはラッカースプレーが乗っている。
そして、その車の助手席には先ほどの「恐怖のラクダワニ脳ミソシーソー」のお姉さんが乗っていた。

「あのスプレーはアートでわざと乗っているのか?それとも置いたけど忘れたのか?」
一瞬私たち3人は迷った。もしかするとああいうアートなのかもしれない。むしろその可能性が高い。
きっとお姉さんに、「車の上にスプレー缶乗ってますよ」と教えたところで、
「あぁ、これアートなんですよぉ」と言われるにおそらく違いない。

3人で、「どうする?教える?でもアートかも。きっとアートなんでしょ。」と言っているうちに、シルバーのスプレー車はバックを始めた。
そのとき、グシャグシャグシャっと何かが潰れるような音がした。

ふと、シルバースプレー車のタイヤあたりに目線を向けると、何かが入っているであろう、レジ袋がシルバースプレー車に轢かれていた。

「あ、これはアートじゃないやつかもしれない。」

そう思い、私たちは車から降りて、狭い駐車場からなかなか出れず何度も前に後ろに動いているシルバースプレー車の
助手席に乗っているシーソーのお姉さんに声をかけた。
お姉さんは、「こいつら、さっき喋ったけど、なんでまた話しかけてくるんだ?やばい奴らか?」といった感じで
怪訝な顔でこちらを見ていた。

「車の上にラッカースプレーが乗っていて、タイヤで袋轢いてますよ。」と言うと、
運転席に座っていた、芸大生らしいつなぎを着たお兄さんが
「あっ、やっべぇ、忘れてたわ」と言いながら、いそいそとスプレーとレジ袋を車に乗せた。
この駐車場での出来事が、私たちにとっては一番アートだと感じた。

帰りの車で三人で話した。
「アートとは人の手が作り出すもので、サイエンスはすなわち自然のものである。
人は自然に意図せず起きる事象から、本物のアートを見出すのかもしれない。」

天空の芸術祭2019は、10月27日まで開催してます。
劇怖シーソーに乗りたい方はぜひ。

あと蚕が今朝1頭、羽化しました。
無事成虫になれて何よりです。もふもふで目が大きくて可愛い・・・
早くともだちも羽化するといいねぇ。

つづく

 

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