大事なことを忘れていた その④

大事なことを忘れていた その④

あいも変わらずのぐその話

鬱蒼とし過ぎてのぐそ場所がない時は藪を切り開いたりもした

さて、実際にのぐそをするにあたっては糞土師・伊沢さんの方法にしたがった
まずはのぐそをする場所を探し、決めたら地面にスコップでかるく穴を掘る
なので、スコップは必需品
穴の大きさはまあ、自分のウンコがはみ出ないだけの広がりと
土をかけて埋めれば元の地面と同じになるくらいの深さがあればいい
そして普段通りに排便すればいいのだが、
最初のうちは上手く穴に落とすのが意外に難しいかもしれない
穴の真上に踏ん張ればいいと思うかもしれないが
それでは上手く穴へは落ちてはくれない
踏ん張ったときの肛門の位置は
尻の真下ではなく、若干、後ろになるからだ
したがって、心もち穴の前で踏ん張るとうまくいく

しかし、ズボンとパンツをおろし、いざ、のぐそとなったときの
無防備感はもちろん、ハンパなかった
むきだしになった下半身の前も後ろもスカスカだ(まさにアウトドア!)
自分の大切な部分を野外へさらす恐れと緊張感
前から人が・・、ハチが向かってきたら・・
などと、あらぬことを思わず考えてしまう

しかし、そうした恐れが薄れていくと
次に訪れるのは意外なほどの解放感だった
むきだしの下半身に朝の(朝でなくてもいいのだが)爽やかな空気がなでる
目の前には自然に生えたさまざまな草木
そして気づくと頭上にはヒヨドリなんかがいて
気持ちよさそうに鳴いたりもしている
さらに木漏れ日なんかも感じるようになると
その爽快感は閉ざされた家のトイレとは比べものにならいほどだった

あっ 意外に気持ちいいっ
というのが、まぎれもない最初の感想だった
そしてなんだかウンコも気持ちよく出ようとしてくれている気がした
自分のお腹が喜んでウンコを出そうとしているのが分かる
さらに、そんなふうにして出たウンコは“活き”がよかった
その色、形、量
溜まった水の中に落ちてしまい、その姿を見るか見ないかのうちに流されてしまうのではなく
おれはここに、こんなふうにしてあるのだぞ
とウンコが言っている感じ
お、おれはこんな立派なものを出していたのだなと
まじまじと自分のウンコを見ることになる
その匂いも匂うといえば匂うのだが、
なにかすぐに林の空気に溶けてしまうようでもある
そしてなによりも、ああ、おれは生きているのだなと
なぜかそのとき強く感じた
自分の急所を外部へさらし、いただいたものをまた元の土へ還した達成感
自分も草木や鳥たちと同じ生き物なのだと、そう思った
それが最初ののぐそだった

写真はアオツヅラフジの葉っぱ

済めば事前に採っておいた葉っぱ(このときは糞土師おすすめのクサイチゴを使用)で尻を拭き、
最後はペットボトルに入れておいた水を尻の谷間から流し、
肛門付近を指で洗い仕上げ(このあたりはインド式)て排便終了
拭いた葉っぱはウンコの上に乗せ、さらに掘った土をかぶせて元通り
まわりの落ち葉などをまぶしておけば、のぐそ前となんら変わらない林の地面だ

こんなのぐそを一週間に一度、わたしはしばらく続けてみた
そしてのぐそと同時に、そのウンコが土のなかでどうなっていくのか
それを確かめる日々がはじまった

つづく

 

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