屋久島 豪雨の記録 19 その後

屋久島 豪雨の記録 19 その後

結果「それどころではなくなってしまった」のだが我が家のカヌー二隻は流されてしまった。

しかし やっと下山出来て、人間ドックにNHKとドンパチにと神経をすり減らしている間にせめてもの朗報が飛び込んできた。
シーカヤックが海辺に打ちあがっていた、と仲間がうちに一艘持ってきてくれたのだった。{写真無し}
もともと調子の怪しかったラダーは潔く折れ、もう古いモデルだから替え部品は期待できないかもしれないが、初心者がロールの練習をする程度ならば何の問題も無い状態で帰ってきてくれた。それだけでも御の字と言えばそうかもしれない。ただ、家族みんなで乗れるカナディアンカヌーが無い。
バイクですらそうなのだけど、本当に「基本一人乗り」の乗り物は家庭を持って子供の小さいうちは使用頻度が激減するものだ。
一人シーカヤックで海に出ようなんて事、考えただけで嫁のレーザービームの様な視線で殺されてしまう。それまではカナディアンがあったからこそシーカヤックも一緒に出艇できたという物だった。

豪雨の日以降は本当に人を馬鹿にしたような快晴が続いていたし、塞ぐ気持ちをせめて晴らそうとカヌーを探して海岸を辿って走り回った。

まぁ何とか、同じように流されたカヌーガイドのシットオンカヤックは一艘見つけたけどね。
こんな風に中身が空洞でひっくり返っても浮力を失わず丈夫な船は どうやら結構な確率で打ちあがってくれていたらしい。{カナディアンは流石にねぇ。}

台風や豪雨の跡には海岸に見ての通りの流木がとんでもなく打ち上げられ、屋久島は流石、屋久杉が打ちあがる。
聞くところによると うまくすれば結構儲かるらしく、天候回復後は急いで皆海岸に回収に行くのだ、という話は聞いていた。

↑で、その時手に負えない物は石とかを乗っけておいて「俺の物だ」という印をつけるのだ、という闇ルールは聞いていたけど・・本当にあったよオイ。

安房川河口の港は流された土砂で埋まってしまい、何隻もの浚渫船で相当量の砂を掘り返し、それが完了するまで高速船も入港できなかった。
一隻づつ浚渫船を回ってカヌーが出たらとっておいて下さいとお願いして回ったが、まぁ結果はやっぱり見つからなかった。

色褪せてピンクがかったFRPのカヌーです。

黒潮に乗ってどこかに漂着してたら教えてください。ゴミを出しちゃってすみません。
誰か二人乗り以上の船、余らせてたら安く譲ってください。本当。

その後は豪雨災害を振り返り反省事項や今後に生かす事をあぶりだす会議が何度となく繰り返された。

やはり色んな立場の人の目線で振り返った情報を共有することで 見えてくることも多かった。

で、以下は共有の見解ではなく自分の考えの話ではあるのだけれども。
今回の様に予想の難しい気象状況というのがここ1~2年でぐっと確率が上がったように体感している。
自分はこの仕事のプロだ、といくら胸を張ろうにも プロたらしめているのは「蓄積された過去の経験」なわけで。気象庁や予報士が天気を予報する拠り所もまた同じだろう。
その経験がアテにならない、というのはある意味身ぐるみを剥がされたようなものだ。
出来ることは天候に関する状況判断の基準を「引き上げる」という事。
それしかないのかもしれない。
けどそれはつまり“行ってはいけない時に行かなくて済んだ”人{=死傷というわけでも無い}一人を増やすために“行けば行けたんだけどガイド判断で行けなかった”人20人{100人、1000人かも知れない}を量産するという事。
これは実際 心苦しくて面白くなくて儲からない。{まぁ、行く気のしない悪天候にやめ易くはなるか。}

2019/11/24
この日 早速豪雨災害の経験が生きた日があった。
災害以降 バスの運行は基本 気象庁の出す「早期注意情報{警報級}」が出たら運休、とされていた。この日は前日には注意情報が出ていたので「様子見」とされ、当日朝には注意情報「解除」となり運行が決定した。
我々はあの日と同じ様にツアー出発を決定し、しかし登山口まで上がったガイドが登山口での増水状況を見て中止にした方が良い、と判断。一般登山者へも中止のアドバイスをして実際 ほぼ全員が従い皆で下山したのだった。

結果、予報を大幅に超えて雨は強まり 県道は通行止めに。我々の乗ったバスを最後にシャトルバスも運休決定、但し下山判断をしたのは乗客である我々なのでバス運賃・協力金も払い戻しは無しだった。
お客様からすれば本当お金の無駄にクタビレ儲けだったので 今後はせめて協力金{できればバス運賃も}返金できるよう 改善されて行って欲しいところではある。

まぁともかく、これからは起きた事を踏まえて今後を迎える、ただそれだけの事であり、誰も予知能力を手に入れた訳では無い。
反省だとか、今後に生かせだとか言ってマウントを取りたい人は、果たしてそれで納得してもらえるのだろうか?

 

 

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